2026.10.29下落率上位10銘柄 一工薬・中央発條が急落

10月29日の下落率上位10銘柄

2026年10月29日の値下がり率上位10銘柄は、「決算」「セキュリティ関連株の過熱解消」「権利落ち」の3つでほぼ説明できます。上位10銘柄のうち4銘柄が、GMOインターネットグループの不正アクセス問題をきっかけに急騰したセキュリティ関連株でした。

当日の地合い

日経平均は前日比705円高の64,659円と大幅続伸しました。ただし押し上げたのはアドバンテストなど一部の主力株で、東証プライムの値下がり銘柄は50.1%と値上がりを上回りました。

東証グロース市場指数は4日ぶりに反落しました。前日までの3日続伸で約5%上昇していたことに加え、29〜30日の日銀金融政策決定会合を前に買いが手控えられました。

値下がり率上位10銘柄(10月29日終値)

順位 銘柄(コード) 市場 終値(円) 下落率 主な下落要因
1 第一工業製薬(4461) プライム 10,570 -21.64% 上期好決算も通期据え置きで材料出尽くし
2 ソーシャルワイヤー(3929) グロース 307 -19.84% AIセキュリティ思惑の急騰反動、ストップ安
3 中央発條(5992) スタンダード 2,845 -19.74% 通期営業益の大幅下方修正
4 セキュアヴェイル(3042) スタンダード 1,131 -18.57% 信用規制強化後の投げ売り
5 グッドコムアセット(3475) プライム 1,130 -17.93% 配当・優待の権利落ち
6 AIストーム(3719) スタンダード 89 -16.82% 前日急騰の反動
7 トーシンホールディングス(9444) スタンダード 212 -15.87% 連騰後の反落
8 ユビキタスAI(3858) スタンダード 551 -15.36% 増し担保規制でストップ安
9 ジーエヌアイグループ(2160) グロース 2,725 -15.24% 3連騰後の利益確定
10 GMOプライム・ストラテジー(5250) スタンダード 1,454 -14.72% セキュリティ思惑の剥落

ランキングはみんかぶの全市場値下がり率(終値ベース)による。各銘柄の「アナリストの視点」「ディーラーの視点」は、証券会社のアナリスト(業績・バリュエーション)とディーラー(需給・値動き)が重視する論点を当ブログが整理したもので、特定の人物の発言ではありません。

1位 第一工業製薬(4461) -21.64%

下落理由: 14時に発表した上期(4〜9月)決算は、経常利益が前年同期の2.5倍の88.3億円と会社予想(76億円)を上回りました。ところが通期予想(経常126億円)は据え置かれ、下期の経常利益は前年同期比44%減の37.6億円にとどまる計算です。上方修正を期待していた買いが一気に剥落しました。

アナリストの視点: 成長をけん引したのはハイエンドサーバー向けの低誘電樹脂材料で、売上高は43%増の538億円でした。通期に対する進捗率70%は保守的な計画とも読め、上方修正の余地は残ります。ただし会社が据え置いた理由(供給制約、費用増、需要の平準化)は決算説明資料で確認が必要です。会社予想EPS631円なら予想PERは約16.8倍で、割高とは言いにくい水準まで下がっています。

ディーラーの視点: 決算前に期待で入った短期資金の投げが中心で、信用買い残の整理には数日かかるのが通常です。翌日以降は、10,000円の節目を守れるかどうかが当面の分岐点です。

配当: 年150円(中間75円・期末75円、会社予想)。終値ベースの配当利回りは約1.4%、予想配当性向は約23.8%です。

2位 ソーシャルワイヤー(3929) -19.84%

下落理由: 10月22日引け後、子会社がAIで企業サイトの脆弱性を点検する「クリップマスター・セキュリティ」の提供開始を開示しました。株価は23日・26日の連続ストップ高で223円から383円へ急騰。しかし28日に年初来高値497円を付けた後に長い陰線となり、29日はストップ安まで売られました。

アナリストの視点: 本業はプレスリリース配信やインフルエンサーPRで、新サービスの収益規模はまだ示されていません。急騰前のPERは約11倍と割高ではなかったものの、テーマ株化後の株価を業績で裏付けるのは難しい状況です。11月10日の中間決算で、新サービスの計画が語られるかが焦点です。

ディーラーの視点: 10月28日時点の信用買い残は約58.8万株、貸借倍率は6.59倍で、高値でつかんだ買いが上値のしこりになります。急騰前の220円台への「窓埋め」も想定に入れ、ストップ安翌日の寄り付きを確認したい局面です。

配当: 無配(予想0円)。配当性向は該当なし。

3位 中央発條(5992) -19.74%

下落理由: 28日の上期決算で、売上高は過去最高ながら営業利益は74.0%減の3.88億円でした。通期の営業利益予想。33億円から18億円へ、45.5%下方修正しています。同時に最大450万株・150億円(発行済み株式の17.8%)の自社株買いを発表しましたが、業績悪化が重視されました。

アナリストの視点: 売上高が横ばいなのに利益が半減近くになるのは、原材料・エネルギー高や労務費増を価格に転嫁できていない証拠です。自社株買いは1株当たり価値を押し上げますが、下期の収益回復が見えるまでは評価しにくいです。前期末の1株純資産3,478円に対し、PBRは約0.8倍まで下がりました。

ディーラーの視点: 自社株買いのうち約120億円(338.5万株)は29日朝の立会外取引(ToSTNeT-3)で、28日終値3,545円で消化されました。つまり市場内の買い支えにはならず、残る買付枠は約30億円です。立会外の取得価格3,545円は、当面の上値の目安として意識されそうです。

配当: 期初予想は年90円(中間45円・期末45円)で、終値ベースの利回りは約3.2%。修正後の純利益予想17.5億円と発行済み株式数(自己株除く、約2,528万株)で試算すると、EPSは約69円で配当性向は約130%です。自社株買い後の株数でも約113%と100%を超えます。配当予想の修正有無は決算短信で確認が必要です。

4位 セキュアヴェイル(3042) -18.57%

下落理由: サイバーセキュリティ関連の中心銘柄として、10月初の300円前後から27日には1,703円まで急騰しました。東証は27日引け後、信用取引の委託保証金率を50%以上(うち現金20%以上)に引き上げる臨時措置を発表。28日はストップ安、29日も大幅続落となりました。

アナリストの視点: 第1四半期は営業利益5,200万円と増益ですが、前期の売上高は12.8億円の小型企業です。前期EPS13.75円に対しPERは約82倍で、業績から説明できる水準を大きく超えています。

ディーラーの視点: 信用規制は短期資金が退出する典型的な引き金です。規制で新規買いが細り、追証による投げが続きやすいため、規制解除までは戻り売りが優勢とみるのが自然です。

配当: 年3円(期末一括、会社予想)。終値ベースの利回りは約0.27%、予想配当性向は約24.1%(前期実績36.4%)です。

5位 グッドコムアセット(3475) -17.93%

下落理由: 10月期決算のため29日は配当・株主優待の権利落ち日でした。年46円の配当に加え、上場10周年記念で1,000株以上の株主に5万円分のデジタルギフトを贈る優待があり、1,000株保有の配当・優待利回りは前日終値ベースで10.6%でした。その分の処分売りが増えました。

アナリストの視点: 権利落ち分(配当46円+優待相当約50円で計約96円)を差し引いても、247円安は下げ過ぎの面があります。第3四半期累計は営業利益が143.7%増と好調で、通期純利益45.4億円の予想から試算するとPERは約7倍です。12月の本決算で示される来期予想と配当方針が次の焦点です。

ディーラーの視点: 記念優待目当てに1,000株単位で入っていた資金が一斉に抜け、権利落ち後は需給の空白が生まれやすい局面です。処分売りが一巡すれば、業績に着目した押し目買いが入るかが注目点です。

配当: 年46円(期末一括、今期分は権利落ち済み)。同額が続くと仮定した終値ベースの利回りは約4.1%です。配当性向は会社予想純利益からの試算で約29%と、会社が掲げる「配当性向35%以上」を下回ります(前期実績は84.4%)。

6位 AIストーム(3719) -16.82%

下落理由: 28日に出来高が前日の約32倍に膨らみ、17.6%高の107円へ急伸しました。この急伸を裏付ける適時開示は確認できず、29日は寄り付き後に125円まで買われた後、大引けは89円と反落しました。

アナリストの視点: 同社は2026年5月、過年度の中古トラック売買取引を巡る疑義で特別調査委員会を設置しています。また行使価額修正条項付きの新株予約権(潜在株式約2,299万株)は、発行済み株式約3,762万株に対して大きな希薄化要因です。予想PERは約14倍と数字上は割安でも、ガバナンス面のディスカウントが外れる材料にはなりません。

ディーラーの視点: 材料が不明な低位株の寄り天は、短期資金の回転売買の典型です。修正条項付き新株予約権は株価上昇時に行使されやすく、戻り局面では売り圧力になります。10月15日の年初来安値80円が下値の目安です。

配当: 予想配当利回り3.37%(終傄89円)から逆算すると1株配当は約3円。予想PERから求めたEPS約6.5円で試算すると、配当性向は約46%です。

7位 トーシンホールディングス(9444) -15.87%

下落理由: 不動産売却で約3億円の固定資産売却益が発生する見込みと伝わり、28日は一時ストップ高の281円まで買われました(終値252円)。29日はその反動で212円まで売られ、材料前の27日終値234円も下回りました。

アナリストの視点: 中部地盤の携帯電話販売代理店で、東証の特別注意銘柄に指定され、再建計画を提出しています。売却益は一過性で、本業の赤字体質が改善するものではありません。時価総額は約14億円と小さく、内部管理体制の改善が上場維持の前提です。

ディーラーの視点: 29日の出来高は約28万株と薄く、少ない売買で値が大きく飛びます。仕手的な需給主導の値動きで、材料前の水準を割り込んだことで、28日に買った短期の買い方は全員が含み損を抱えた状態です。

配当: 無配。当期赤字のため配当性向は該当なし。

8位 ユビキタスAI(3858) -15.36%

下落理由: 量子暗号・サイバーセキュリティ・ソフトウェア定義車両(SDV)関連として、10月中旬の300円台から27日の710円まで急騰しました。日本証券金融は28日、29日から同社株に増し担保金(貸借担保金率50%)を徴収すると発表。一時ストップ安の551円まで売られました。

アナリストの視点: 27年3月期は2期連続の営業赤字見通し(予想EPSはマイナス38.2円)です。脆弱性検証ツールや耐量子暗号は中長期テーマで、収益化の時間軸はまだ見えません。11月13日の中間決算で受注の具体性が問われます。

ディーラーの視点: 増し担保は信用での新規買いのコストを上げ、既存の買い方の手仕舞いを促します。10月21日時点で貸借倍率は150倍超と買いに大きく偏っており、規制解除までは上値が重い展開が想定されます。

配当: 無配。赤字予想のため配当性向は該当なし。

9位 ジーエヌアイグループ(2160) -15.24%

下落理由: 26〜28日に3営業日連続で各約6%上昇し、3,215円まで戻していました。29日は当ブログが確認できた範囲では個別の適時開示はなく、グロース市場全体の反落と重なって利益確定売りが一気に出た形です。

アナリストの視点: 株価を左右するのは肝線維症治療薬F351の承認・上市時期です。同社は売上収益以外の業績予想を開示しておらず、研究開発費やM&A費用が利益を振らします。11月13日の決算で費用の見通しと審査の進捗が語られるかが焦点です。

ディーラーの視点: 3日間で約20%上げた分をほぼ1日で吐き出し、終値2,725円は、4日前(23日)の終値2,690円とほぼ同じ水準です。この価格帯を守れるかが短期の分岐点です。

配当: 無配(予想0円)。配当性向は該当なし。

10位 GMOプライム・ストラテジー(5250) -14.72%

下落理由: GMOグループのFX関連サービスへの不正アクセス問題を受け、ウェブサイトの保守・運用を手掛ける同社はセキュリティ関連として物色され、27日には10日で株価が2倍の2,205円に達しました。28日はストップ安の1,705円、29日も続落して1,454円で終わりました。

アナリストの視点: 第3四半期累計は売上高が10.9%増の一方、営業利益は25.8%減と増収減益でした。通期予想EPS14.75円に対してPERは約99倍で、テーマ人気のプレミアムが剥がれるのは業績面からは合理的です。

ディーラーの視点: 急騰からストップ安、続落という典型的な「行って来い」の形です。急騰前の1,000円台前半が意識され、セキュリティ関連全体の資金の抜け方にも左右されます。

配当: 年22円(期末一括、会社予想)。終値ベースの利回りは約1.5%です。予想EPS14.75円で試算した配当性向は約149%と利益を超えており(前期実績71.9%)、持続性が論点です。

まとめ:逆張りの目線では「下げ方の種類」を分けて見る

同じ「大幅安」でも、下げた理由によってその後の値動きのパターンは大きく異なります。

下げ方の種類 該当銘柄 次に見るポイント
決算・業績修正 第一工業製薬、中央発條 下期の収益回復と会社計画の保守性
テーマ株の過熱解消・信用規制 ソーシャルワイヤー、セキュアヴェイル、ユビキタスAI、GMOプライム・ストラテジー 規制解除と信用買い残の減少
低位株の需給主導の反落 AIストーム、トーシンホールディングス 材料の裏付けとガバナンス
権利落ち グッドコムアセット 12月の本決算と来期の配当方針
利益確定 ジーエヌアイグループ F351の審査進捗と11月13日の決算

業績の裏付けがあるのに需給で売られた銘柄(第一工業製薬、グッドコムアセット)は、逆張りの検討対象になりやすいタイプです。一方、信用規制やテーマ剥落で下げた銘柄は、需給が整うまで続落しやすいのが一般的です。配当では中央発條とGMOプライム・ストラテジーの配当性向が100%を超える試算となり、減配リスクの有無に注意が必要です。

免責事項

本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。配当性向のうち「試算」としたものは当ブログの計算で、会社発表値と異なる場合があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

参考資料

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