2026.10.14

2026年10月14日 下落率上位10銘柄

本日の相場概況

10月14日の日経平均は前日比33円安の67,744円で、小幅ながら5営業日続落となりました。前日の大幅安の反動で買い戻しが先行し、後場には一時600円超上げる場面もありましたが、取引時間中に伝わった蘭ASMLの決算が「良好だが想定の範囲内」と受け止められ、半導体関連が失速してマイナス圏に沈みました。TOPIXは0.34%安、東証グロース市場250指数は1.94%安と、中小型・新興株の下げが目立ちました。

個別では、ここ1カ月ほど短期資金が集中していたサイバーセキュリティ関連株が一斉に崩れ、下落率上位10銘柄のうち5銘柄を占めました。残りは「前日急騰の反動」「米FDAの警告書」「決算期待の剥落」「四半期決算の悪化」と、材料はばらばらです。

※ランキングは東証上場銘柄の終値ベース(前日終値比)。名証・福証単独上場銘柄は除いています。

下落率上位10銘柄 一覧

順位 銘柄(コード) 市場 終値 下落率 主な下落要因 予想配当利回り 配当性向(予)
1 津田駒工業(6217) 東証S 758円 -14.45% 前日ストップ高の反動 無配 ―
2 オリンパス(7733) 東証P 1,759円 -13.46% 米FDAから警告書 1.71% 約33%
3 ブロードバンドセキュリティ(4398) 東証S 2,660円 -13.36% セキュリティ株の利益確定 0.60%※ 約19%※
4 FFRIセキュリティ(3692) 東証G 8,520円 -12.79% セキュリティ株の利益確定 0.21% 約13%
5 サイバーセキュリティクラウド(4493) 東証G 3,665円 -12.32% セキュリティ株の利益確定 0.16% 約7%
6 カウリス(153A) 東証G 2,675円 -10.80% セキュリティ株の利益確定 0.21% 約10%
7 TWOSTONE&Sons(7352) 東証G 423円 -10.76% 急騰後の反落・決算前の手仕舞い 0.24% 約10%
8 エスケイジャパン(7608) 東証S 868円 -10.14% 中間決算で利益率低下 2.76% 約29%
9 ZenmuTech(338A) 東証G 4,690円 -9.98% セキュリティ株の利益確定 無配 ―
10 川崎地質(4673) 東証S 4,370円 -9.90% 6〜8月期が営業赤字 2.75% 約14%

※ブロードバンドセキュリティは前期(2026年6月期)実績の年16円・実績配当性向で算出。利回りは本日終値ベース。

1位 津田駒工業(6217)−14.45%

下げた理由 13日に発表した第3四半期累計決算で営業損益の黒字転換を示し、同日の株価は150円高(ストップ高)の886円まで急騰していました。14日はその反動で、ほぼ前日の上げ幅を吐き出す形になりました。

アナリストの視点 繊維機械(織機)の受注は回復傾向にあり、黒字転換自体は前向きな変化です。ただし、同社は過去に営業赤字が続いた経緯から、有価証券報告書に「継続企業の前提に関する重要な疑義」が注記されている状態です。自己資本比率も一桁台と薄く、時価総額は50億円台。1四半期の黒字だけで企業価値を大きく見直すのは早く、通期での安定黒字と財務改善の道筋を確認したい局面です。

ディーラーの視点 典型的な「材料一発・S高翌日の往って来い」です。出来高を伴った陰線で前日の上げをほぼ消しており、短期筋の資金はいったん抜けたと見ます。700円台前半で下げ止まるかが目先の焦点で、ここを割ると戻り売りが重くなります。

今後の展望 本決算(11月期)で通期黒字を確保し、受注増が売上に乗ってくるかが次の材料です。それまでは値動きが荒い状態が続くでしょう。

配当:無配(配当利回り0%、配当性向 ―)。財務改善が優先され、復配はまだ先と考えられます。

2位 オリンパス(7733)−13.46%

下げた理由 13日の取引終了後、米食品医薬品局(FDA)から警告書(Warning Letter)を受領したと発表。対象はオリンパスメディカルシステムズのほか、ドイツ・米国の拠点を含む6施設で、FDAの査察で指摘された品質マネジメントシステムに関する同社回答の妥当性が問われています。同社は過去にもFDAから品質管理の警告を受け、品質改善に約800億円を投じてきた経緯があり、「まだ終わっていなかったのか」という失望売りが膨らみました。出来高は1,300万株超と大商いです。

アナリストの視点 会社側は、警告書は製品の生産・販売を制限するものではなく、リコールも求められていないと説明しており、直ちに業績予想を崩す材料ではありません。今期は営業利益約1,365億円(前期比約4割増)、1株利益90円を計画しています。一方で問題は「コスト」と「時間」です。是正対応が長引けば追加の品質投資が必要になり、米国での新製品承認の遅れや、主力の内視鏡事業での競争力低下につながりかねません。目先の評価はPERの切り下げ(リスクプレミアムの上乗せ)という形で織り込まれていくと見ます。

ディーラーの視点 プライムの大型株で13%超の下落は異例で、日経平均の押し下げ寄与も上位でした。年金・海外勢のポジション整理が一日で終わるとは考えにくく、数日は戻り売りを警戒します。一方で、悪材料の中身が「販売停止なし」と確認されれば、1,700円台では割安感からの押し目買いも入りやすい水準です。

今後の展望 同社は受領後15営業日以内にFDAへ回答する予定です。回答内容とFDAの反応、11月の中間決算での説明が次の焦点。ネガティブ材料の続報がなければ、時間をかけて下げ幅を埋めにいく展開も考えられます。

配当:年30円(予想)。配当利回り1.71%、予想配当性向約33%。連続増配中で、減配リスクは現時点では低いと見ます。

3位 ブロードバンドセキュリティ(4398)−13.36%

下げた理由 相次ぐ不正アクセス・情報漏えい事案を受けて、10月に入りサイバーセキュリティ関連株に短期資金が殺到。同社株も8日に500円高と上値を追い、8月には1,200円台だった株価が一時3,000円台に乗せていました。14日はセクター全体で利益確定売りが一斉に出て、急反落しました。

アナリストの視点 本業は堅調です。前期(2026年6月期)は経常利益が前期比2倍超に回復し、今期は経常利益7.3億円(34.7%増)を計画しています。脆弱性診断やSOC運用といった定常収益型サービスの受注残が積み上がっており、需要環境は追い風です。ただ、株価は2カ月で2倍超となり、業績の伸び以上に「テーマ性」で買われた部分が大きい。前期実績ベースでPERは30倍前後まで上昇しており、ファンダメンタルズで正当化しやすい水準を上回り始めています。

ディーラーの視点 時価総額100億円規模で浮動株も限られ、上げも下げも速い銘柄です。テーマ株の急落初日は「押し目」に見えやすいですが、信用買いの投げが出切るまでには通常数日かかります。25日移動平均線あたりまでの調整は想定しておくべきでしょう。

今後の展望 サイバー攻撃関連の報道が続く限りテーマの再燃余地はありますが、次の本格的な評価は11月の第1四半期決算です。受注の伸びが株価上昇に見合うかを確認したいところです。

配当:前期実績は年16円(中間8円・期末8円)。本日終値ベースの利回り0.60%、前期実績配当性向約19%。「前年並み以上」を基本とする方針で、今期の増配余地もあります(最新の会社予想は決算短信で要確認)。

4位 FFRIセキュリティ(3692)−12.79%

下げた理由 セキュリティ関連株の一角として資金が向かい、13日にも時価総額上位銘柄として買われていましたが、14日はセクター全体の利益確定売りに押されました。売買代金は約88億円と、グロース市場でも有数の規模でした。

アナリストの視点 純国産のエンドポイントセキュリティ「FFRI yarai」と、官公庁向けのナショナルセキュリティ・サービスが二本柱で、経済安全保障の文脈で語られやすい銘柄です。ただし今期の会社計画は経常利益15億円(3.5%増)と伸びは一桁にとどまり、第1四半期は人件費増で経常利益が前年同期比3割減でした。株価8,520円は予想PERで約60倍。成長期待を相当先取りしている水準で、業績面の裏付けは十分とは言えません。今年1月には米空売り機関から会計処理を巡る指摘を受けた経緯もあり、ボラティリティは高めに見ておくべきです。

ディーラーの視点 セキュリティ関連の中ではいわば「主力・本命」なので、セクターから資金が抜けるときは真っ先に売られ、戻るときも先に買われます。値幅制限の下限近くまで売られたあと引けにかけてやや戻しており、9,000円近辺が当面の戻りの目安です。

今後の展望 テーマ人気の持続と、11月の中間決算で第1四半期の減益から持ち直せるかが焦点です。業績のモメンタムが弱いままなら、テーマ熱の冷却とともに株価も落ち着きどころを探す展開になりそうです。

配当:年18円(予想・期末一括)。配当利回り0.21%、予想配当性向約13%。成長投資優先で、配当妙味は小さい銘柄です。

5位 サイバーセキュリティクラウド(4493)−12.32%

下げた理由 13日に13%近く上昇したばかりでしたが、14日はセキュリティ関連の総崩れで急反落。出来高は1,000万株を超え、短期資金の入れ替わりが激しかったことを示しています。8月には2,000円前後だった株価は、今月に入り4,000円台まで上昇していました。

アナリストの視点 Webアプリケーションファイアウォール(WAF)で国内シェアトップのSaaS企業で、中間期は営業利益30%増と業績は好調です。今期の会社計画は経常利益12億円(9.9%増)と保守的で、上振れ余地もあります。とはいえ、1株利益は約83円の計画で、本日終値でも予想PERは40倍台。好業績の質の高い銘柄であることと、株価が適正かどうかは分けて考える必要があります。

ディーラーの視点 時価総額400億円弱とセクター内では流動性があり、機関投資家も触りやすい銘柄です。そのため急騰局面では短期筋の「出口」に使われやすく、今日の大商いはまさにそれ。3,500円前後で下げ渋れば、テーマ株の中では最初に戻りを試す候補になりえます。

今後の展望 11月の第3四半期決算で、ARR(年間経常収益)の伸びと利益率の改善を確認できれば、調整一巡後に再評価される可能性があります。

配当:年6円(予想)。配当利回り0.16%、予想配当性向約7%。配当より成長投資を重視する段階です。

6位 カウリス(153A)−10.80%

下げた理由 金融機関向けの不正アクセス検知サービスを手掛け、「相次ぐ不正アクセス」の連想から8日に500円高(+22%)、13日も13%高と急騰していました。14日はその反動とセクター全体の売りが重なりました。

アナリストの視点 主力の「Fraud Alert」は金融機関のログインを常時監視するストック型ビジネスで、今期は経常利益5.4億円(31%増)、1株利益54円を計画しています。業績の伸びは素直に評価できますが、8月中旬に1,400円前後だった株価が2カ月で2倍超になっており、予想PERは約50倍まで切り上がりました。不正送金や口座乗っ取りの増加という追い風は中長期で続くと見る一方、株価は業績の数年分を前倒しで織り込んだ状態です。

ディーラーの視点 時価総額が小さく、テーマに乗ったときの値幅は大きい半面、売りも一気に出ます。今日は出来高が500万株超と急増しており、短期的な天井を付けた可能性を意識します。下値メドとしては、急騰の起点となった2,200円台が意識されそうです。

今後の展望 金融機関の導入拡大や新サービス「Grid Data KYC」の進捗が材料。11月の第3四半期決算で、計画に対する進捗率を確認したいところです。

配当:年5.5円(予想・期末)。配当利回り0.21%、予想配当性向約10%。DOE1.5%以上を目安とする方針で、緩やかな増配が期待されます。

7位 TWOSTONE&Sons(7352)−10.76%

下げた理由 10月6日に2026年8月期の業績下方修正(経常利益を約36%引き下げ)を発表して上場来安値を付けたあと、9日には生成AI関連の思惑からストップ高(+22%)と急反発していました。14日は本決算発表(15日予定)を前に、急騰分の手仕舞い売りが出たと見られます。

アナリストの視点 フリーランスエンジニアのマッチング「Midworks」が主力で、売上高は前期比2割増と伸びている一方、営業体制強化の遅れなどで利益が計画を大きく下回りました。最終利益は前期比13%減の着地見込みで、成長と収益性の両立がまだできていない段階です。15日の本決算では、今期(2027年8月期)の利益計画が保守的に出るかどうかが最大の焦点で、ここで市場の信頼を回復できるかが問われます。

ディーラーの視点 信用買い残が売り残の3倍を超えて積み上がっており、上値では戻り売りが出やすい需給です。下方修正→安値→テーマ物色で急騰→決算前に反落、という典型的な値動き。決算発表を挟むとどちらにも大きく振れるため、短期では無理にポジションを持たないのが無難です。

今後の展望 15日の決算と新年度計画次第です。AI実装支援子会社の設立など新たな取り組みはありますが、まず既存事業の利益回復を示せるかがカギになります。

配当:2026年8月期は年1円(予想)。配当利回り0.24%、修正後の1株利益ベースで配当性向は約10%。配当は象徴的な水準で、株主優待(自社サービス利用者向け)が還元の中心です。

8位 エスケイジャパン(7608)−10.14%

下げた理由 14日に発表した中間決算(3〜8月期)で、経常利益は前年同期比3%増にとどまり、直近6〜8月期は8%減益となりました。各事業で利益率が低下し、営業利益は2%減。あわせて通期の売上高予想を170億円から195億円へ引き上げた一方、利益予想は据え置いたため、「売れているのに儲からない」構図が嫌気されました。

アナリストの視点 キャラクター雑貨・アミューズメント景品の企画販売で、ここ数年は大幅増益が続いていました。今回は売上が計画を大きく上回りながら利益が伸びない点が問題で、為替(円安)による仕入れコスト上昇や販促費の増加が利益率を圧迫していると見られます。ただ、今期も経常利益19.6億円・1株利益約82円の増益計画を維持しており、本日終値でPERは約10.6倍。自己資本比率78%と財務は盤石で、バリュエーション面では割高感はありません。

ディーラーの視点 好業績の割安株として買われていた銘柄だけに、「成長鈍化」のシグナルには敏感に反応しました。PTSでも戻りは鈍く、明日以降も売りが続く可能性はあります。ただし配当利回りが3%に近づく水準では、配当狙いの下値買いが入りやすくなります。

今後の展望 下期に利益率が持ち直すかどうか。ヒットキャラクターの有無で業績がぶれやすい業態なので、次の第3四半期決算(1月)で進捗を確認したいところです。

配当:年24円(予想、株式分割考慮後)。配当利回り2.76%、予想配当性向約29%。増配基調が続いており、今回の下落で利回り妙味は高まりました。

9位 ZenmuTech(338A)−9.98%

下げた理由 個別の悪材料は見当たらず、情報漏えい対策関連として買われてきた反動と、セクター全体の利益確定売りによるものです。9月下旬に3,000円前後だった株価は、14日朝の時点で5,000円台まで急騰していました。

アナリストの視点 独自の秘密分散技術を使った情報漏えい対策「ZENMU Virtual Drive」が主力で、野村総研や日立などとの取引実績があります。今期は売上高10.8億円(27%増)、経常利益1.8億円(12.5%増)を計画。技術の独自性は評価できますが、事業規模はまだ小さく、本日終値でも予想PERは40倍を超えています。テーマ性による上昇幅が業績の伸びを大きく上回っている状況です。

ディーラーの視点 時価総額100億円台の小型株で、板が薄く値幅が出やすい銘柄です。テーマの主力株(FFRIやサイバーセキュリティクラウド)の値動きに連動しやすいため、それらが下げ止まるまでは手を出しにくいと見ます。

今後の展望 11月の第3四半期決算で大型案件の獲得や秘密計算ソリューションの進捗が示されれば、テーマ株から業績株への評価転換も考えられます。

配当:無配(配当利回り0%、配当性向 ―)。成長投資を優先する段階です。

10位 川崎地質(4673)−9.90%

下げた理由 14日の15時に発表した第3四半期決算で、直近の6〜8月期が営業赤字(約2.1億円)に転落し、売上高も前年同期比57%減となりました。発表直後から売りが膨らみ、大引けにかけて下落率を広げました。

アナリストの視点 数字のインパクトほど内容は悪くありません。同社は官公庁向けの地質調査が主力で、収益が第2・第4四半期に集中する季節性の強い業態です。実際、会社は期初から下期(6〜11月)を営業赤字と計画しており、今回の赤字は「想定内」です。第3四半期累計の経常利益は前年同期比42%増、通期計画に対する進捗率は約90%に達しています。今期の1株利益計画848円に対し、本日終値でPERは約5倍。前期の大型案件の反動で売上が減る年とはいえ、割安感は強い水準です。

ディーラーの視点 決算発表の時刻が大引け30分前と遅く、見出しの「赤字転落」に反応した売りが短時間に集中しました。内容を精査した買いが入るのは翌日以降になりやすく、明日の寄り付き後の値動きで市場の評価が分かれそうです。流動性は高くないため、成行での売買には注意が必要です。

今後の展望 国土強靱化や防災・減災関連の公共投資、洋上風力向けの海洋調査など、中長期の需要は底堅いと見ます。来期の受注見通しと中期経営計画の進捗が、次の株価材料になります。

配当:年120円(予想、中間25円・期末95円)。配当利回り2.75%、予想配当性向約14%。今期は期中に増配修正済みで、配当性向にはまだ余裕があります。

まとめ:今日の下落から見えること

今日の下落率上位は、半分がサイバーセキュリティ関連でした。情報漏えい事件をきっかけにしたテーマ相場は、1カ月で株価が1.5〜2倍になった銘柄が多く、14日は短期資金が一斉に出口へ向かった形です。業績が伴う銘柄(サイバーセキュリティクラウド、カウリスなど)と、テーマ性だけで上がった銘柄とでは、調整一巡後の戻り方に差が出ると考えられます。

逆張りの観点では、「悪材料の中身が想定より軽い」銘柄が狙い目になります。今日のリストでは、季節性による想定内の赤字だった川崎地質や、販売停止を伴わないと説明しているオリンパスがそれに近い位置づけです。一方、テーマ株の急落初日に飛びつくのは、需給が落ち着くまで待つのが無難でしょう。

※本記事は公開情報をもとにした分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。「アナリストの視点」「ディーラーの視点」は本ブログが専門家の分析手法を想定して整理したものです。投資判断はご自身の責任でお願いします。数値は10月14日終値時点の会社予想・公表値に基づきます。

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