2026年10月13日 下落率上位10銘柄
3連休明けの東京市場は、AI・半導体株に売りが集中する一日でした。日経平均は前週末比1,253円40銭安(-1.82%)の6万7,777円52銭と4日続落。一方で東証プライムの値上がり銘柄は1,137、値下がりは378と、指数の下げほど市場全体は崩れていません。業種別では非鉄金属、電気機器、情報・通信が下落率上位で、海運や鉱業は買われました。
売りの起点は海外です。米国ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2日間で3%強下落し、ナスダックは著名な空売り投資家によるハイテク株の投資判断引き下げで終日軟調でした。さらに中国メモリメーカーの次世代技術や製品投入計画が伝わり、メモリの競争激化懸念から韓国KOSPIも4%超下落。日本でもキオクシアや検査・製造装置株に売りが波及しました。
今日の上位10銘柄は、大きく3つのタイプに分かれます。
- 半導体・メモリ連想売り:キオクシアHD、日本マイクロニクス、KOKUSAI ELECTRIC
- 個別材料の剥落・好材料出尽くし:PHCHD(買収期待の剥落)、Sansan(決算サプライズ不足)
- 短期資金の利食い(直近IPO・AIテーマ):レイヤード、ビーエイブル、フィーチャ、データセクション、akippa
対象は東証上場の個別株です。ETF・ETNと、福証単独上場銘柄(アイビスHD、-28.85%)は除外しています。
下落率上位10銘柄 一覧
| 順位 | 銘柄(コード・市場) | 終値 | 前日比 | 予想配当(年) | 予想配当利回り | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | PHCホールディングス(6523・P) | 1,363円 | -14.06% | 42円 | 3.08% | 約35%(今期予) |
| 2 | キオクシアHD(285A・P) | 15,180円 | -13.28% | 無配 | 0% | ― |
| 3 | レイヤード(634A・S) | 2,631円 | -12.01% | 無配 | 0% | ― |
| 4 | 日本マイクロニクス(6871・P) | 15,420円 | -11.02% | 178円 | 1.15% | 約30%(今期予) |
| 5 | ビーエイブル(604A・S) | 1,642円 | -10.76% | 20円 | 1.22% | 約21%(今期予) |
| 6 | フィーチャ(4052・G) | 910円 | -10.61% | 無配 | 0% | ― |
| 7 | データセクション(3905・G) | 1,531円 | -9.94% | 無配 | 0% | ― |
| 8 | KOKUSAI ELECTRIC(6525・P) | 9,128円 | -9.53% | 47円 | 0.51% | 28.7%(前期実績) |
| 9 | akippa(627A・S) | 1,388円 | -9.10% | 無配 | 0% | ― |
| 10 | Sansan(4443・P) | 2,025円 | -8.74% | 5円 | 0.25% | 約6〜8%(今期予) |
※配当利回りは本日終値と会社予想配当から算出。今期予想の配当性向は、会社予想の1株利益(EPS)または純利益から算出した概算です。
1位 PHCホールディングス(6523)-14.06%
下落理由:東邦ホールディングスから受けていた買収に関する初期的な提案について、先週末に東邦HD側から「検討を終了する」と連絡があったと発表。9月30日の買収検討報道で1,430円から翌日一時1,694円まで急騰していた分の「買収プレミアム期待」が一気に剥落しました。
アナリストの視点:本業はむしろ回復局面です。今期第1四半期は売上収益906億円(+8.1%)、営業利益104億円(+171%)と大幅増益で、血糖測定(BGM)の欧米販売好調とコスト改善が効いています。今日の下げで株価は報道前の水準を割り込んでおり、「TOB期待分が抜けて本業評価に戻った」という整理です。中期経営計画の進捗次第で再評価の余地は残ります。
ディーラーの視点:典型的な「イベントドリブン資金の巻き戻し」。TOB思惑で入った短期資金の処分売りが中心なので、その一巡は早い可能性があります。ただ、報道前の1,430円を明確に回復するまでは戻り売りが出やすい価格帯です。
今後の展望:焦点は11月の中間決算で、上期の増益基調が続くか。親会社所有者帰属持分比率が約3割と財務はやや重く、そこはリスク要因です。
配当:年42円(中間21円・期末21円)予想、利回り約3.1%。前期は特殊要因で純利益が急減し配当性向が見かけ上1,000%超になりましたが、今期予想ベースでは約35%と平常水準に戻る見込みです。
2位 キオクシアホールディングス(285A)-13.28%
下落理由:米国の半導体株安(SOX 2日で約3%下落、ナスダック軟調)に加え、中国メモリメーカーの次世代技術の進展と2026年末までの製品投入計画が伝わり、NAND市場の競争激化懸念が強まりました。韓国のSKハイニックスやサムスン電子も大きく売られ、日韓のメモリ株がそろって下落。日経平均への値下がり寄与でも上位に入りました。
アナリストの視点:業績そのものは極めて強い状態です。今期第1四半期(4〜6月)は売上収益1兆7,671億円、最終利益8,421億円と前年同期の数十倍規模で、7〜9月期も売上収益2兆3,900億円・最終利益1兆2,700億円を見込んでいます。AIデータセンター向けSSD需要と平均販売単価の上昇が背景です。論点は「足元の業績」ではなく「メモリ市況のピークアウト時期」と「競合の増産・新規参入」で、株価はそれを先回りして織り込みに行っています。
ディーラーの視点:海外半導体指数とサンディスク、韓国メモリ株との連動性が非常に高い銘柄です。夏場にも信用買い残が積み上がった状態からの急落があり、需給の軽さには要注意。米国時間の半導体株とKOSPIの戻りを確認するまでは、反発しても短命に終わりやすい局面です。
今後の展望:11月の中間決算で示される10〜12月期見通しと、価格動向へのコメントが最大の材料です。会社は自己株取得枠を設定済みで、下値での買い支え要因にはなります。
配当:普通株は無配。株主還元は現時点では自己株取得が中心です。
3位 レイヤード(634A)-12.01%
下落理由:9月25日上場の直近IPO銘柄。公開価格1,400円に対し、9月30日には上場来高値3,815円まで買われ、前営業日の10月9日にはリバウンド狙いの資金でストップ高(2,990円)をつけていました。今日はその反動の利益確定売りが中心で、個別の悪材料は確認されていません。
アナリストの視点:今期予想EPS約107円に対しPERは20倍台半ばまで低下しましたが、PBRは10倍を超える水準。上場直後で業績の実績期間が短く、ファンダメンタルズでの価格形成はまだこれからです。
ディーラーの視点:上場後の値動きは典型的な「直近IPOの値幅取り」。ストップ高翌営業日の大幅安は、短期資金の回転売買が続いていることを示しています。高値圏の出来高をこなすまで値動きは荒い前提で臨むべき銘柄です。
今後の展望:11月13日予定の第1四半期決算が最初の試金石になります。
配当:無配(今期予想0円)。
4位 日本マイクロニクス(6871)-11.02%
下落理由:半導体検査用プローブカード大手で、AI向けメモリ(HBMなど)の検査需要で成長してきた銘柄。メモリ市況の先行き不安と米半導体株安を受け、キオクシアなどと同様にメモリ関連として売られました。
アナリストの視点:今期(12月期)会社予想は売上高1,038億円(+47.9%)、純利益230億円(+90.7%)と大幅増益で、中間期時点の進捗も順調です。市場コンセンサスの目標株価は2万円台前半との集計もあり、アナリスト評価は依然として高い水準。メモリ投資サイクルが崩れない限り、業績面の下支えは強い銘柄です。
ディーラーの視点:前週末は+6%と買われていた分、今日は反動も重なりました。値動きはSKハイニックスなど韓国メモリ株の方向感に引っ張られやすく、日中は先物主導の売買にも振られます。
今後の展望:11月12日予定の第3四半期決算で受注動向が確認できるかが焦点です。
配当:年178円(前期95円から大幅増配)予想、利回り約1.15%。会社予想EPS593円ベースの配当性向は約30%で、前期実績(30.5%)とほぼ同水準。業績連動型の配当です。
5位 ビーエイブル(604A)-10.76%
下落理由:7月29日上場の直近IPO銘柄で、原子力発電所の建設・保守・廃炉工事と再生可能エネルギー事業が柱。前営業日(10月9日)は直近IPOとして+203円と買われており、今日はその反動の利食い売りが出た格好です。個別の悪材料は確認されていません。
アナリストの視点:9月の決算で、2027年7月期は経常利益13.9億円(+35.8%)と4期ぶりの過去最高益更新を見込んでいます。原発の再稼働・廃炉という息の長い需要がある一方、特定の電力会社向けの比率が高い点は顧客集中リスクとして意識されます。予想PERは10倍台後半で、公開価格700円からは2倍超に上昇済みです。
ディーラーの視点:時価総額が小さく、IPO後の短期資金が出入りしやすい銘柄。原発関連のテーマ物色が強まる局面では再び動意づきやすい一方、地合いが悪い日は売り物が勝ちやすい傾向があります。
今後の展望:10月29日に定時株主総会、上場後初の配当支払いは10月30日予定です。
配当:年20円予想、利回り約1.22%。前期配当性向は20.4%、今期予想純利益ベースでも約21%と低めで、増配余地のある水準です。
6位 フィーチャ(4052)-10.61%
下落理由:ドライブレコーダーや車載カメラ向けの画像認識ソフトを手がけるAI関連銘柄。直近3カ月で株価が4倍超に上昇していたところへ、今日はAI・ハイテク株全般に売りが広がり、短期資金の利益確定が出ました。個別の悪材料は確認されていません。
アナリストの視点:会社予想EPSは7.5円程度で、予想PERは100倍を超える水準。自己資本比率が9割超と財務は健全ですが、現在の株価は業績ではなく「AIテーマへの期待」で形成されていると見るべきです。
ディーラーの視点:7月の安値221円から9月の高値1,620円まで急騰した値動きの大きいテーマ株。高値からの調整局面に入っており、AI関連の地合い次第で上下に大きく振れます。
今後の展望:次回決算は11月中旬(11月18日予定との情報あり)。受託開発からライセンス収入への積み上がりが確認できるかが評価の分かれ目です。
配当:無配(今期予想0円)。
7位 データセクション(3905)-9.94%
下落理由:2025年からAIデータセンター運営事業に本格参入し、業績が急拡大している銘柄。今日はAI関連株への売りに巻き込まれました。直近1週間でも約2割下落しており、調整が続いています。
アナリストの視点:今期は経常利益が前期比3倍超の大幅増益予想で、予想PERは1桁台と数字上は割安です。ただ、AIデータセンター事業は大型案件の進捗や設備資金の調達に左右されやすく、市場は「利益の継続性」に慎重な値付けをしています。
ディーラーの視点:5月の高値6,140円から4分の1程度まで下落しており、戻り待ちの売りが厚い銘柄。信用売り残も多く、材料次第では買い戻しで急反発する可能性も残ります。値動きの激しさは覚悟が必要です。
今後の展望:11月中旬予定の中間決算で、データセンター事業の収益化の進捗が確認できるかが焦点です。
配当:無配(今期予想0円)。
8位 KOKUSAI ELECTRIC(6525)-9.53%
下落理由:半導体製造装置(成膜・熱処理装置)の大手。米半導体株安とメモリ投資の先行き懸念から、半導体製造装置株として売られました。東京エレクトロンが1銘柄で日経平均を約450円押し下げるなど、装置株全体が軟調でした。
アナリストの視点:今期第1四半期は売上収益754億円(+45.6%)、営業利益159億円(+63.9%)と大きく回復。前期の減益から業績は再加速しています。メモリ向け投資が同社の主要な需要源のため、今日のようなメモリ懸念には敏感に反応しますが、AI関連投資の裾野拡大が中長期の追い風です。
ディーラーの視点:装置株はSOX指数との連動が強く、日経平均先物の仕掛け売りにも巻き込まれやすい銘柄群です。東京エレクトロンやアドバンテストの戻り具合が先行指標になります。
今後の展望:次回の中間決算で受注の持続性と通期見通しの修正有無が焦点です。
配当:年47円(前期37円から増配)予想、利回り約0.51%。前期の配当性向は28.7%です。
9位 akippa(627A)-9.10%
下落理由:駐車場シェアのマーケットプレイス「アキッパ」を運営し、9月18日に上場した直近IPO銘柄。公開価格570円から2倍超に上昇しており、今日は直近IPO全般の利食い売りの流れに押されました。個別の悪材料は確認されていません。
アナリストの視点:資産を持たないプラットフォーム型で、黒字化後の利益拡大局面に入っている点が評価されています。ただ今日の株価で予想PERは約29倍、PBRは10倍超と、成長期待をかなり織り込んだ水準です。
ディーラーの視点:上場直後は1日で+28.9%(ストップ高)という日もあった銘柄。発行済株式数が少なく、短期資金の出入りで値幅が出やすい典型的な小型IPOです。
今後の展望:12月期決算のため、まずは11月の第3四半期決算での進捗確認が最初の節目になります。
配当:無配(今期予想0円)。
10位 Sansan(4443)-8.74%
下落理由:前営業日に第1四半期決算を発表。大幅増益でしたが市場の期待を上回るサプライズは限定的と受け止められ、利益確定売りが優勢となりました。ハイテク・グロース株への売りも重なりました。
アナリストの視点:通期の会社予想は売上高637億〜653億円(+18.5〜21.5%)、調整後営業利益127億〜147億円と大幅増益のレンジ予想で、経理AXサービス「Bill One」の通期黒字化も見込んでいます。中期的には調整後営業利益率25〜30%を掲げており、成長と収益性の両立が進んでいる段階です。今日の下げは「数字は良いが、期待値はそれ以上だった」という典型的な好決算売りです。
ディーラーの視点:決算前に期待で買われていた分の手仕舞いが中心。決算翌日の大幅安は数日で落ち着くことも多く、下げ止まりの位置を確認したい場面です。
今後の展望:上期に広告宣伝費を厚く投下し利益は下期偏重という計画のため、四半期ごとの利益の伸びよりも、契約件数とARR(年間経常収益)の伸びが評価軸になります。
配当:年5円(中間2.5円・期末2.5円、前期の初配当2.5円から増配)予想、利回り約0.25%。会社予想EPS 66〜81円ベースの配当性向は約6〜8%で、還元の中心は自己株取得です。
まとめ:今日の下げから読み取れること
今日の下落は「AI・半導体への集中売り」と「短期資金の利食い」がほぼすべてで、業績の下方修正のような本質的な悪材料で売られた銘柄は見当たりませんでした。
- 半導体・メモリ株(キオクシア、日本マイクロニクス、KOKUSAI)は業績が強い一方、株価はメモリ市況の先行きを先回りして織り込みに行っています。米国半導体株と韓国メモリ株の戻りが反発の前提条件です。
- PHCHDは買収期待が抜けて本業評価に戻った形で、配当利回り3%台は下値の支えになり得ます。
- 直近IPO・AIテーマ株は値動きが極端で、業績より需給で動く局面が続きそうです。
逆張りの観点では、「業績は崩れていないのに地合いで売られた銘柄」と「需給だけで動いている銘柄」を分けて見ることが重要です。
本記事は公開情報をもとにした情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。「アナリストの視点」「ディーラーの視点」は、証券会社のアナリスト・ディーラーが一般的に重視する観点で整理したもので、特定の人物の発言ではありません。配当・業績予想は各社の会社予想に基づき、本日終値で計算した概算です。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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