2026年11月5日 下落率上位10銘柄
本日の相場概況
11月5日の東京市場は「AI・半導体だけが売られる」極端な一日でした。日経平均は前日比1,110円73銭安の6万1,077円90銭と4日続落した一方、TOPIXは45ポイント高とプラスで引けています(共同通信)。
引き金は米中間選挙です。野党・民主党が上下両院を制し、AIの開発規制やデータセンター建設の減速が警戒されました(OANDA)。プライム銘柄の約73%は値上がりしており、売りはAI・半導体関連に集中しています(株探)。
下落率上位も、半導体・データセンター関連が大半を占めました。一方で、決算や個別材料で売られた銘柄も混ざっています。本記事では株探の値下がり率ランキング(Yahoo!ファイナンス掲載)から、ETN(5位の原油先物ダブル・ブルETN)を除いた個別株の上位10銘柄を取り上げます。
各銘柄の「アナリストの視点」は業績・バリュエーション重視の中長期目線、「ディーラーの視点」は需給・値動き重視の短期目線で、当ブログが整理した見立てです。実在の特定人物の発言ではありません。
下落率上位10銘柄 一覧
10銘柄中6銘柄が半導体・データセンター関連(うち芝浦とオルガノは決算も重なった)で、残る4銘柄は決算や個別材料による下げです。配当利回りは11月5日終値、配当性向は会社予想の1株配当÷予想1株利益で算出しています。
| 順位 | 銘柄(コード・市場) | 下落率 | 終値 | 主な下落理由 | 予想1株配当 | 配当利回り | 予想配当性向 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 芝浦メカトロニクス(6590・P) | -23.1% | 2,335円 | 中間期営業19%減 | 67円 | 2.87% | 35.2% |
| 2 | パワーエックス(485A・G) | -20.6% | 1,620円 | 運転資金の融資契約 | 無配 | 0% | — |
| 3 | オルガノ(6368・P) | -19.6% | 1,725.5円 | 上期一転減益 | 44円 | 2.55% | 33.7% |
| 4 | AIメカテック(6227・S) | -18.7% | 4,285円 | 半導体関連売り | 22円 | 0.51% | 約8% |
| 5 | スマサポ(9342・G) | -18.4% | 665円 | 開示材料なし・需給 | 無配 | 0% | — |
| 6 | 日本MDM(7600・P) | -18.1% | 452円 | 赤字転落・無配転落 | 無配(従来17円) | 0% | — |
| 7 | coly(4175・G) | -18.0% | 2,272円 | 新作配信で出尽くし | 無配 | 0% | — |
| 8 | 精工技研(6834・S) | -17.4% | 4,740円 | 光・DC関連売り | 30円 | 0.63% | 約15% |
| 9 | フェローテック(6890・S) | -17.3% | 6,576円 | 半導体関連売り | 200円 | 3.04% | 22.5% |
| 10 | 日本電子材料(6855・S) | -17.1% | 4,840円 | 半導体関連売り | 100円 | 2.07% | 約22% |
「約」が付く配当性向は、予想PERから逆算した概算値です。フェローテックは決算期変更による9カ月の変則決算で、200円はその期間の配当予想です。
1位 芝浦メカトロニクス(6590)-23.1%
下げた理由: 午後3時ごろ発表の中間決算で、4〜9月の営業利益が61.4億円と前年同期比18.9%減でした。半導体前工程が顧客の投資計画変更で減収となり、減価償却費も増えました(株探)。AI関連売りの地合いと重なり、ストップ安で引けています。
今後の展望: 同時に通期予想は上方修正され、営業利益は160億円→175億円、配当も64円→67円に増額されています(株探)。第1四半期の受注高は前年同期比190.5%増と急拡大しており、下期偏重の計画です(BigGo)。
配当: 予想67円、利回り2.87%、配当性向35.2%(予想EPS 190.25円)。
アナリストの視点: 中間の減益は前工程の一時的な落ち込みで、通期は上方修正と増配。生成AI向け後工程装置の受注残を考えると、ストップ安は「中身より地合い」で売られた面が大きいと見ます。予想PERは12倍台まで低下しました。
ディーラーの視点: 引け直前の発表で売りを消化しきれておらず、明日も寄り付きは売り先行の可能性があります。ただし上方修正銘柄のストップ安は、ザラ場で売りが出尽くせば自律反発を狙う短期資金が入りやすい形です。
2位 パワーエックス(485A)-20.6%
下げた理由: 中国銀行と計20億円(短期・長期各10億円)の融資契約を結ぶと発表しました。受注拡大と第2〜第3四半期の在庫増に伴う運転資金に備えるもので、純資産維持や経常損益に関する財務制限条項が付きます(財経新聞)。売買代金は約137億円に膨らみました(株探)。
今後の展望: 次の焦点は11月12日予定の決算です。融資自体は成長に伴う資金需要ですが、市場は「資金繰りが重い」「将来の増資があり得る」と警戒した形です。
配当: 無配。配当性向は算出対象外です。
アナリストの視点: PBR約29倍・PER150倍前後と期待で買われていた銘柄で、財務制限条項付きの借入は財務余力への不安を浮き彫りにしました。受注の売上化と営業キャッシュフローの改善を決算で確認したいところです。
ディーラーの視点: 信用倍率が非常に高く、戻り売りの重い需給です。200日移動平均線に上値を抑えられた形で(財経新聞)、決算前は手掛けにくい局面です。
3位 オルガノ(6368)-19.6%
下げた理由: 4日発表の上期決算で、経常利益が155億円と前年同期比10.3%減、従来の増益予想から一転減益で着地しました(株探)。7〜9月期の売上営業利益率は23.3%→16.4%に低下しています。高採算案件の反動や人件費・IT投資の増加が響きました。
今後の展望: 通期経常400億円は据え置きで、下期は前年同期比17.6%増益が必要な計算です。台湾向け受注高は前年同期の203億円から630億円に拡大しており(EBC)、売上計上の本格化は翌期以降です。
配当: 予想44円(中間22円・期末22円、10月の1対5分割後ベース)、利回り2.55%、配当性向33.7%。8期連続増配の実績があります(マネックス)。
アナリストの視点: 利益率の低下は案件ミックスの問題で、受注の質は高いと見ます。ただ下期の大幅増益が前提の計画で、達成への確度を見極めるまでは評価を上げにくい局面です。
ディーラーの視点: 10月30日から3日続落の後の一段安で、半導体関連として機械的に売られた面もあります。決算を嫌気した中長期資金の売りが一巡するまで、反発は限定的と見ます。
4位 AIメカテック(6227)-18.7%
下げた理由: 個別の悪材料は見当たらず、AI向け先端半導体パッケージ装置の銘柄として、本日の半導体関連売りに巻き込まれたと見られます。ストップ安で引けました(株式ちゃんねる)。
今後の展望: 7月には海外大手2社から約180億円のウエハハンドリングシステムを受注しています(マネーポスト)。次の材料は11月13日予定の第1四半期決算です。
配当: 予想22円、利回り0.51%、配当性向約8%(予想EPS 263.88円)(トレーダーズ・ウェブ)。
アナリストの視点: 大型受注の売上計上は27年6月期以降で、業績の伸びしろは残ります。株価が年初来で大きく上昇していた分、セクター悪材料で値幅が出やすい点は織り込むべきです。
ディーラーの視点: 10月15日にもストップ安があり、値動きの荒い銘柄です。決算までは半導体セクター全体の地合い次第で、指数の方向感が出るまで買い急ぐ場面ではありません。
5位 スマサポ(9342)-18.4%
下げた理由: 本日、株価に直結する開示は確認できませんでした。普段の出来高は数千株程度の薄商いですが、本日は5万6,400株に急増してストップ安・年初来安値となりました(株探)。グロース市場全体が5日続落する中での投げ売りと見られます。
今後の展望: 11月13日に本決算を予定しています。経常利益は直近4四半期連続で前年同期比減益です(マネックス)。8月にはD2C事業の子会社化も進めており、新事業の採算が焦点です。
配当: 無配。配当性向は算出対象外です。
アナリストの視点: 時価総額16億円の小型株で、予想PERは10倍台まで低下しました。ただ減益基調が続く中では割安とは言い切れず、本決算と来期計画の確認が先です。
ディーラーの視点: 流動性が極めて低く、少量の売りでも値幅が出ます。材料不明の急落は決算前のポジション整理の可能性もあり、決算前に買い向かうのはリスクが高いと見ます。
6位 日本エム・ディ・エム(7600)-18.1%
下げた理由: 4日発表の上期決算で経常損益が11.6億円の赤字に転落し、通期経常を1.4億円の黒字→17.5億円の赤字に下方修正しました。期末配当17円も見送り、20期ぶりの無配転落です(株探)。人工関節を中心とした販売低迷、米国での新製品上市の遅れ、退職関連費用が響き、終日ストップ安売り気配でした(財経新聞)。
今後の展望: 会社は経営責任の明確化と業績改善計画を公表し、米子会社ODEVの人員削減や在庫の適正化を進めます(適時開示)。費用削減の効果が出るのは来期以降の見込みです。
配当: 今期は無配(従来予想17円)。最終赤字のため配当性向は算出できません。
アナリストの視点: PBRは0.5倍台と資産面では割安ですが、赤字と無配で配当狙いの投資家層が抜ける局面です。米国の供給制約と新製品の立ち上がりが確認できるまで、評価の回復には時間がかかると見ます。
ディーラーの視点: 本日は売り気配のまま値が付かず、売り注文が翌日に持ち越されています。明日も続落スタートが濃厚で、寄り付いて売りが出尽くすのを待つ場面です。
7位 coly(4175)-18.0%
下げた理由: 前日4日に期待の新作『ディズニー スパークリンク・スターズ』を配信開始し、目先の材料出尽くしとみた売りでストップ安となりました(gamebiz)。
今後の展望: 7月中間期は新規開発への13億円の先行投資で営業赤字8.5億円でしたが、既存事業は4.5億円の利益を確保しています(gamebiz)。今後はセールスランキングなど新作の初動の数字が株価を左右します。
配当: 無配。配当性向は算出対象外です。
アナリストの視点: ディズニーIPの採用は話題性が高い一方、ゲームは配信後数週間の課金推移で評価が決まります。先行投資の回収可否が見えるまでは、PERなど利益ベースの評価が難しい銘柄です。
ディーラーの視点: 「リリースで売る」典型的な値動きです。ランキング上位が続けば買い戻しが入りやすく、逆に初動が鈍ければ二段下げもあり得るため、日々のランキングを見ながらの短期勝負になります。
8位 精工技研(6834)-17.4%
下げた理由: 光コネクターなど光通信用デバイスを手掛けるデータセンター関連株で、AI関連売りの直撃を受けました。前日も光関連の主力株安で550円安となっており(財経新聞)、本日はストップ安です。
今後の展望: 次の材料は11月13日予定の中間決算です。第1四半期の経常利益は28.2億円で、通期予想121億円(前期比48.7%増)に対する進捗率は23.3%でした(株予報)。
配当: 予想30円、利回り0.63%、配当性向は約15%(予想PER23倍からの概算)(Yahoo!ファイナンス)。
アナリストの視点: 自己資本比率81%と財務は盤石で、データセンター向けの需要自体が崩れたわけではありません。ただ予想PER20倍台は成長期待込みの水準で、中間決算での受注動向の確認が必要です。
ディーラーの視点: 10月下旬に急騰した後の2日続落で、短期の利益確定売りが集中しました。夜間PTSでは東証終値を上回る水準での取引もあり(Yahoo!ファイナンス)、自律反発への期待も残ります。
9位 フェローテック(6890)-17.3%
下げた理由: 11月2日に今期3度目の上方修正を出したばかりですが、本日は半導体関連の一斉売りにのみ込まれました。前日比1,375円安です(株探)。
今後の展望: 今期(9カ月の変則決算)の経常利益予想は550億円→660億円、純利益は360億円→480億円に引き上げられています(株探)。生成AI向けの半導体製造装置部材と、AIデータセンター用光トランシーバー向けサーモモジュールが伸びています。決算発表は11月16日予定です。
配当: 予想200円、利回り3.04%、配当性向22.5%(予想EPS 889.3円)。
アナリストの視点: 予想PERは7倍台まで低下し、上方修正直後としては明らかに売られすぎの水準です。ただ主要顧客は米ラムリサーチで、米国のAI投資の減速懸念が直接響く構造である点はリスクです。
ディーラーの視点: 好材料の直後に地合いで売られた銘柄は、地合いが落ち着けば最も早く戻りやすい候補です。信用買い残は多めなので、追証絡みの売りが出切るかが短期の分かれ目です。
10位 日本電子材料(6855)-17.1%
下げた理由: 半導体検査用のプローブカード大手で、本日の半導体関連売りでストップ安となりました。個別の悪材料は確認できません。
今後の展望: 11月10日に中間決算を予定しています。通期経常予想は93億円(前期比29.6%増)で、第1四半期の進捗率は34.3%と順調でした(株予報)。
配当: 予想100円(前期80円から増配予定)、利回り2.07%、配当性向は約22%(予想PERからの概算)。前期の配当性向は18.8%です(株予報)。
アナリストの視点: 第1四半期の進捗は良く、上方修正の余地もある内容です。メモリー向け検査需要の先行きが、評価を左右する最大のポイントです。
ディーラーの視点: 決算発表まで3営業日しかなく、好決算期待の買いと地合い悪化による売りが交錯します。決算をまたぐかどうかがポジション判断の分かれ目です。
まとめ
本日の下落は「業績が悪化した銘柄」と「地合いで売られた銘柄」に分かれます。逆張りの観点で注目度が高いのは後者で、上方修正直後のフェローテックや、通期上方修正・増配を伴った芝浦メカトロニクスは、売りの一巡を待つ価値がありそうです。
一方、日本MDMの赤字・無配転落やパワーエックスの財務懸念は、業績や財務そのものの問題です。底値を探るには次の決算を待つのが無難でしょう。今週から来週にかけて日本電子材料(11月10日)、パワーエックス(12日)、AIメカテック・精工技研・スマサポ(13日)、フェローテック(16日)と決算が続き、反発か二番底かを見極める材料がそろいます。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・配当予想は11月5日時点の公表情報に基づき、今後変更される可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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